『心療内科医のメルヘン・セラピー』その22004/02/21

前々回で「心理療法って結局は宗教の構造と同じだということだ。」と書いたが、別に心理療法に批判的なのではない。私などは10代の頃から宗教や神秘学にどっぷりつかっていたから専門家ではなくても、いや、専門家ではないから客観的に心理療法の基本的構造がよく見えてくるのだろう。

ようするに次のようなことだ。人はそれぞれ固有の物語を持っている。その固有の物語はその人が住んでいる地域や生きている時代に特徴的な思考方法・行動様式(文化)に影響を受けて形成される。その形成された物語が、住んでいるところの文化や自分自身の理想像とかけ離れてしまったところに、心理的異常が起きる。そこでその治療法は?ということになる。それはその固有の物語を自己理想に近づけるか、自己理想を物語の方へ近づければいいことになる。自己理想を形而上学的概念に設定すると宗教になるし、形而下的概念に設定すると心理療法になるのだろう(ちなみに後者の方が簡単だ)。

で、メルヘン・セラピーなのだが、メルヘン・セラピーの基本的な治療構造というのは人が持っているゆがんだと自覚する固有の物語を、メルヘンを読むことによってより自己理想に近いものに変容させるということなのだろう。そこで中川先生はこの本で11のメルヘンを用意してみた。このメルヘンを読者自身の意識の問題として読み込んでいくと、その人固有の物語が変容するかもしれない。中川先生はそれをねらっているのじゃないかな?

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