『心療内科医のメルヘン・セラピー』その42004/02/27

『心療内科医のメルヘン・セラピー』の14ページから15ページにかけて、中川先生は次のように続けて書いている。

ところが、ナラティヴセラピーでは相談者の話に興味を持って、物語として聞こうというのです。物語として聞くというのはどういうことかといいますと、ストーリーに興味を持って聞く。真実か真実でないかの判断はそれほど大事ではないといいます。M・ホワイトというこの流派の学者が、こんな風にいっています。
「人は解釈する生き物だといいたいのです。つまり私たちは人生を生きるとき、ストーリーという枠組みのなかで積極的に自分流の解釈を行います。そして自分の物語を作り上げていきます。」

これはフロイトが作った精神分析流のような仮説構成体を理論として「どうしてそのような解釈が生まれるのか」といった原因論的視点で人と関わるのではなく、今目の前にいる人が「どのように世界を解釈しているか(構成しているか)」といった構成主義的な視点で関わろうというのである。

私が人間の心理を理解するのに原因論的な考え方に批判的なのは、それが本当かどうか検証できないからだ。ある小学生の暴力的な行為の原因に乳幼児期の母子関係や父子関係をもってきたりしてみても、それは検証できないだろう。

しかしその小学生と話をして、「どうして暴力的な行為をしたかったのか」という話を聞き出せれば、暴力的行為の理由の真偽はどうであれ、そのように世界を解釈しているという事実は観察できる。暴力的行為を止めさせる(いや、しなくなるといった方がいいだろう)には別の世界解釈ができるようにつきあえばいい。

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