認知フレームを変える2004/04/04

前回は、

基本的な単語の概念ひとつをとっても、解釈に解釈者の信念体系がどうしても投影されて、本来の概念を正確にトレースすることは不可能に近い。
ではどうすればいいのか?というのを次回に考えてみたい。

と書いたが、考えてみるとやはり不可能に近い。現代の文章だとまだ可能だが、古典となるとかなり難しい。

現代の文章だと、文献を読むときに分析することを一切否定して、作者の思考過程をそままたどるということを何度も繰り返すといい。これは自分自身の思考パターンを一度放棄して、あたらしい思考パターンを自分の中に作り出すという、神秘学の基本的な行のひとつだ。

われわれは事象Xに対して、いつもは認知フレームAを使って事象Xを認知してA1という判断内容を得ている。通常の人間はこの認知フレームを自在に変えて判断するということはない。事象Xに対して認知フレームAを使うことを「アイデンティティ」と称して自我を確立させているからだ。

その認知フレームAをいったん放棄して別の認知フレームを使ってみるという訓練は、ある意味、「アイデンティティの一旦停止」に他ならない。しかし「作者の意図を理解する」というのはそういう「アイデンティティの一旦停止」を行って、作者の認知フレームを使って判断を行うという内的作業をしないと不可能だ。

しかし古典だとなかなかこうはいかない。続きは次回。

補足:今回書いたやり方は高橋巌著『神秘学講義』(角川選書)に詳しく書いてある。

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