場の治癒力2004/04/23

私には同業者のメル友が何人かいるのだが、その中のある人と治療効果についての話題になった。お互い意見が一致したのは、治療効果を生み出すのは治療技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーション能力やスタッフの存在と立ち振る舞い、備品類のセンスや配置、内装・BGM等々、すべてを総合したものであるということだった。

彼はうまい例え話をしてくれた。茶道というのはただお茶を飲むだけなのだが、重要なのはお茶をたてて飲むまでのプロセス、調度品・茶室の状態等の全体性なのだということだ。すべてが総合されて茶道が成立する。ただ単に、お茶をたてて飲むだけのプロセスを取り出しても茶道にはならない。治療も同じ事だと彼は話してくれた。まあたしかにそうだね。これは開業していたらつくづく納得する話なのだが、技術力重視の鍼灸師にはそういう発想がほとんどない人が多い。

勤務鍼灸師の治療に対する考え方を観察していると、開業して成功するタイプと開業には向かないタイプはすぐ分かる。開業に向かないタイプというのはこういう「場の治癒力」ということが分かっていない人だ。どこかに勤務していて治療をする。そこそこの治療効果を得る。このときに「ああ、私にもそこそこの治療技術がついてきたな」と自信を持ってしまう人、こういう人は開業には向かないだろう。なぜなら彼が患者さんを治療して得た効果は、彼の力だけではなくて、他のスタッフや勤務先の経営者の経営方針、治療院の雰囲気を総合して得られたものだからだ。そのことに気づかない人は開業には向かない。

勤務鍼灸師で開業して成功するタイプは「場の治癒力」に意識的なので、与えられた仕事をこなすだけでなく、他のスタッフとの治療的な人間関係を築こうとしたり、治療院の経営にプラスのなるような行動を積極的に行う。開業という目的があるので、開業鍼灸師としてのスキルを積極的に磨こうとする。

私の同業者の友人にも「場の治癒力」が分かっていない人がたくさんいるが、聞かれないかぎり指摘はしない。分かろうとしない人に言っても無駄だからね。

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