チャングムの鍼は痛い?2005/07/08

TVはあまり見ないのだが、NHKのBSで放映中の『チャングムの誓い』が気に入って、初回からずっと見ている。ドラマ舞台が宮中の病院にあたる内医院(ネイウォン)に移ってから、中国医学の診察や治療の場面がいろいろ出てきて、なかなか面白い。

顔面診(顔の色や状態を診る)・舌診(舌を診る)・脉診(脉を診る)をする場面がたびたびでくるのだが、ちゃんと中国医学のセオリーどおりになっている。しかしときどき「えっ?」って思う場面もある。

たとえば顔面診なのだが、ドラマでは全体の色の話しか出てこない。実際はそんな大雑把ものではなく、顔には五藏六腑に対応した場所があり、そこの色や状態、相互の関係を診なければならい。脉診も総按脉といって、おおざっぱな脉診方法だ。

一番気になったのは、診察法でなくて鍼治療だ。ドラマの鍼を刺す場面を専門家の私からみてみると、かなり痛いのではないかと思う。

まず、なんといっても鍼が太い。日本で通常使っている鍼よりもかなり太い。爪楊枝ぐらいあるのではないか?日本でよく使われるのは0.16ミリ(1番)~0.26ミリ(5番)くらい。ドラマで使われているのは5番鍼の倍は軽く超えそうだ。もっとも日本でも昔の鍼かなり太かったようで、森ノ宮医療学園のはりきゅうミュージアムで見た江戸時代の鍼はかなり太かったように覚えている。

それから鍼の刺し方。鍼を刺す通常の方法は、まず皮膚に刺し(切皮)、そこから深く押し込むというぐあいに2段階に分かれている。ドラマでは切皮のときスナップをきかせて片手でしているが、これはうまくやらないとかなり痛いと思う。とくに太い場合は切れ味の良い鍼を使わないと痛みが出やすい。

日本では鍼管とよばれている筒を使って切皮するのが一般的だ。江戸時代の杉山和一という人が考え出した切皮法だ。鍼管を使うと痛みが少ない。ただし『チャングムの誓い』は16世紀ごろの時代設定になっているので管鍼法はまだ生み出されていなかった。鍼管を使用しない場合、右利きなら左手で針の先の方と皮膚を固定して、右手で押し入れる。

ちなみに『チャングムの誓い』のガイドブックを読むと、ドラマで鍼を実際に刺される人は、役者とは別にいるそうである。内出血しやすい刺し方、抜き方をしているからじゃないかなぁ・・・と思ってしまうが・・・

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