井筒俊彦特集号(1)2009/03/31

今日の読書

井筒俊彦先生の特集を組んでいた三田文学の冬季号(No96)を読み終えたが、きわめて面白かった。

いうまでもなく、井筒先生は世界的に有名な言語哲学者で、東洋の神秘思想を専門に研究されていた方だ。日本に哲学学者はたくさん存在するが、哲学者の名にふさわしい学者は数えるほどである。その数えるほどの中から「昭和の哲学者・思想家を数人挙げよ」といわれれば、日本の哲学の祖ともいうべき西田幾多郎、西洋に禅を広め仏教の究極の姿として妙好人を世に広めた鈴木大拙、そして20ヵ国語以上の言語を自在にあやつり、古代ギリシャからイスラーム・インド・中国・日本の神秘哲学の深層に現代言語哲学から光あてた井筒俊彦の3人をはずすひとはまずいないだろう。

井筒先生の天才ぶりは、私の思想上の師匠である高橋巌先生から何度も聞かされていた。高橋先生は本書にも書かいていらしゃるが、学生時代に公私にわたって井筒先生に教えを受けたそうだ。

今回の井筒俊彦特集は、井筒俊彦入門というべきもので、井筒先生の業績を的確にまとめた評論4本、先生に教えを受けた人たちの回想録5本、先生のエッセイ3本から構成されている。

いちばん面白いのは評論で、文学者としての業績と哲学者としての業績に分けてまとめられている。4本の評論を読めば井筒先生の基本的な問題意識・思想を俯瞰できるようになっている。

私が中国医学の勉強をするようになって、その思想的根底にある易や陰陽五行論・老荘思想を勉強をしていて、それを論理的に言語化できるようになったのは井筒先生の著作の恩恵がいちばん大きい。特に先生の主著『意識と本質』と『意識の形而上学』によるところが大きい。

井筒先生の『意識と本質』と『意識の形而上学』は易や陰陽五行論を論理的に理解する上で非常に重要だとおもうので、機会があるごとに同業者に紹介するのだが、どうも難しすぎるらしい。思想書としてみれば、先生の文体はとても明晰で理解しやすいのだが。。。まあそういう方にはこの特集号はお勧めである。

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