整形外科分野の基本方針
腰痛・五十肩・膝痛・頚痛・骨折や捻挫の後療・末梢神経麻痺・リウマチ等々、整形外科的疾患は、鍼灸治療を受診される患者さんの主訴で最も多い分野です。また、手術適応や中枢神経系の不可逆的疾患などの重症なものを除いて、鍼灸治療はきわめて有効な治療で、医療機関での治療よりも鍼灸治療を定期的に受ける方が早く回復することも多いです。
整形外科の分野では大半を占める腰痛・五十肩・膝痛・頚痛などの治療は、中国医学的な診察を行った後、徒手による診察、筋肉バランスや姿勢の分析等を行います。徒手による診察とは、症状に関係する関節の可動性や筋力バランス、痛みやしびれの出方を手業でチェックして、症状の原因を検査する診察法です。当院では整形外科的検査法・カイロプラクティックの動的・静的触診法・中医整骨などのテクニックを利用しています。
現代医学の整形外科的分野において中国医学的な診察を行うのは、伝統的な中国医学ではそれらの症状の原因を五藏六腑・経絡の異常と考え、これを検査するためだからです。いわば西洋医学では欠けている視点を補うためです。
また、日本の伝統鍼灸を行っている人々の間では現代医学や手技療法(カイロや整体・整骨などの手を使った治療法)的な観点を軽視する治療家も多く、その欠点を補うために整形外科的な診察法や手技療法の診察法を取り入れています。
実際の治療としては、まず経絡の流れや五臓六腑の異常を調整します。これだけで症状がかなり軽減することも多々あります。この治療で残った症状の大半は、鍼灸よりも整体法・整骨法を使った治療の方が有効なので、補助的に手を使って治療します。
冒頭に「鍼灸治療はきわめて有効な治療で、医療機関での治療よりも鍼灸治療を定期的に受ける方が早く回復する場合も多いです。」と書きましたが、一般的なクリニック(整形外科)でよく行われている、機器を使ったリハビリ治療を簡単に書いておきましょう。
牽引治療:頚椎症や頚肩腕症候群・頚椎ヘルニア、腰痛などに10分~20分くらいの牽引を行う方法。これらは中途半端なマッサージ効果しかありません。入院して長時間、持続牽引する方法を除き、最近のアメリカの研究では治療効果に否定的です。悪化することも多いです。
温熱治療:発熱方法には、マイクロウエーブ、遠赤外線、磁気加振式、温水等々いろいろあります。骨折や捻挫の後療、五十肩の治療などで理学療法士やあん摩マッサージ指圧師が手技療法を行う際、事前に温熱機器で暖めておくと運動時痛が軽減されるので、このような使い方には有効です。それ以外の治療には意味がありません。
通電治療:低周波・中周波・高周波などをからだに通す方法です。よく使われるのは低周波治療器です。低周波治療器は家電メーカーが肩凝り用に販売しているものをご存じの方も多いでしょう。原理は家庭用も医療用も同じで、違いは出力や出力波形の調節精度、安全性の高さなどです。低周波治療の有効な使い方は、低周波治療器の皮膚にあてる部分をごくごく小さくして筋肉の両端や中国医学の経穴に正確にあてて(かなり精度が要求されます)通電すると、麻痺や神経痛に効果的です。鍼を刺してそれに通電する方法もよく取られます。しかし低周波治療も最近の研究では治療効果に否定的なのに未だによく続けられている治療法です。
リハビリ治療はこれらに運動療法やマッサージを組み合わせなければ、ほとんど無効です。きちんとしたリハビリ治療は、リハビリ専門医と理学療法士やあん摩マッサージ指圧師が治療計画をきちんと立て、厳密な管理下のもとに行わなければなりません。しかしこのようなきちんとした治療を行っているところはごくごく少数です。ほとんどは上記の医療機器と、慰安マッサージを組み合わせて帰し、来院回数を増やして保険点数を稼いでいます。暖めるなら使い捨てカイロ、通電するなら家庭用低周波治療器を買って使えば、患者さんの自己負担額も時間も、保健医療費も節約できると思うのですが・・・
03:37 午後 | Permalink
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