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治療の前提

治療の前提

中国医学では人間の健康も病いも、基本的には生まれ持っての体質と生活習慣に由来する体調によると考えます。ですから治療家が病気の診断をするときに、症状ばかりに注意を向けるのではなく、体質と生活習慣から来る体調の状態を分析することに重点をおきます。ですから治療も体質と体調の改善を中心にすえます。

人間の生命維持は、栄養分を消化・吸収・代謝して活動エネルギーを産出・貯蔵し、老廃物を排出することによって行われます。この生命維持能力は、生まれつきの強弱と、生活習慣に由来する強弱があります。

生命維持能力のうち、生まれ持っての能力を中国医学では先天の精とよんでいます。栄養分を消化・吸収・、代謝し、老廃物を排出させる力のうち、生まれながらにして持っている能力のことです。いわば「生命の器」です。また、生命維持能力は、生活習慣にも左右されます。何を食べるか飲むか、どのような生活習慣を送るかによって生命の器の能力をどれだけ高められるかが違ってきます。飲食物を消化吸収して抽出された生命の器の能力を高める物質のことを後天の精とよびます。これは「生命の器に盛られるもの」にあたります。

「生命の器」自体は養生や治療によって劇的に好転させることはできませんが、現状を維持、または若干改善させることは十分可能です。たとえば生まれつき胃腸が弱くて下痢をしやすい人が、養生でプロのスポーツ選手のような頑丈な胃腸に変えることはできません。しかし養生するによって日常生活に不自由のない程度に改善したり、入院するくらいまで悪化するのを防ぐことはできます。

中国医学の治療がなぜこのようなことを治療の基本に置くかといいますと、病気やけがも、そういった基本的な生命維持能力に由来しているからと考えているからです。

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